終活連載コラム【FP洋子の死生感🐰】第七回:祖母の死について(薬師寺洋子)

終活連載コラム【FP洋子の死生感🐰】第六回:祖母の死について(薬師寺洋子)

皆様、こんにちは。
すっかり秋めいてまいりました。
緊急事態宣言もようやく明け、少しずつ日常が戻ってきています。

さて、第七回のお話は『祖母の死について』です。

私の父方の祖母は10年前に92歳で他界しました。死因は老衰で大往生でした。
大病を患うことはありませんでしたが、数年間は自宅でも寝たきりになり、同居の叔父夫婦と介護ヘルパーさんの力を借りて生活する状態でした。

私の祖母のイメージは、いつも窓際で本を読んでる寡黙なイメージです。本とテレビが大好きで、いつ行ってもどちらかを見ていました。
人と話したり社交的な事が苦手なタイプの人で、近所のお付き合いも叔父夫婦に任せっきりのお嬢様タイプです。
祖父が健在の時は、私たちが遊びに行ってもコーヒーやジュースを出してくれるのがいつも祖父の仕事で、祖母は黙って座ったままただ微笑んでいました。
九州の出身で、祖父の仕事の関係で愛媛県松山市に引越して半世紀以上経ってもバリバリの九州弁で話す人でしたので、私も九州弁を覚える事が出来たくらいです。笑

そんな気丈でプライドの高い祖母でしたから、亡くなる数年前から足腰が立なくなってもギリギリまで人に頼らず自分で自身のことをやっていました。しかし寄る年波には勝てず、だんだん弱っていき、人の手を借りなければならなくなっていく様子を、私は遠くから見ているしかありませんでした。
祖母は認知症にはなりませんでしたが、その分自分の体の衰えを自覚していたと思います。最初は文句も言っていたらしいのですが、だんだんと介護の人たちの言うことを黙って聞き、あんなに頑なに嫌がっていた介護施設へも、最後は自分から行くと言い出したそうです。

最後に祖母に会ったのは、介護施設に入ってしばらくしてからでした。
九州女で豪快にお酒も飲んでいた祖母は平均よりもかなり大柄な人だったのに、子供のように小さくなってしまっていました。食事も手伝いがないと取れず、入所してからはほとんど口にしてなかったそうです。それでも頭は動いているので、私たちが行くと少しだけ微笑みます。その小さくなった体とか弱い微笑みを見て、人はこうやって死に近づいていくんだなぁ。。。と、何とも言えない感情になりました。
私はたまの帰省時に顔を見に行くくらいでしたので、介護の現場をずっと直接観ていたわけではありません。でも、実家で祖母を看ていた叔父夫婦は、自分たちの仕事がありながらの介護でしたので大変だったと思います。
時々私の両親も手伝いに行ってましたが、いつもやってくれてる叔父夫婦以外の手を借りようとしなかったそうです。

仕事柄、介護施設に入所しているお客様にお会いしに行くこともよくありました。施設の人たちが、丁寧に根気よく入所の人たちに接してる姿が印象的でした。
人生100年時代になり、これからもっとご高齢の方の数は増えますが、同時に医療や予防医学の発達で健康寿命も延びていくでしょう。
けれど、人は必ずどこかで死を迎えます。
私の祖母のように、体の衰えをじっと享受して死を迎える人は日々何を感じていたのか。
もしかしたら認知症で小さな子供に戻って、記憶もなくなってしまって死を迎えた方が幸せではないのか、とさえ思ってしまいました。
介護というのは、そういう千差万別の人たちに正面から向き合って行く仕事ですので、シナリオのない人間ドラマに出演しているような仕事だなぁと感じます。

どんな時代になっても、人生のゴールが死であることがわかっているのなら、私たちに今から出来ることが何かあるのではないでしょうか?
どう生きれば『我が人生に悔いなし』と言えるのか、一度ゆっくり考える時間を作ってみるのもいいかもしれません。

祖母の死は大往生ということもあり、葬儀の後はみんなどことなくほっとしたような雰囲気だったのが印象的でした。そして本人も、やっと体の不自由から解放され、先に待っている祖父や、先立った私の父に会えて喜んでいるのではないかと思います。
心を引き裂くような悲しい死や、突然過ぎて受け入れられない死も確かに存在します。でも、本来の人の死はこんな風にゆっくり着実に訪れるものなんだと、祖母の死から学びました。その死からは、悲しみよりもむしろ慈しみを感じます。

また、人が死に向かう直前に、どうしても衰弱していく体を助けてくれる介護という仕事が、これからは本当に必要になってくる時代になるなあとつくづく感じました。
地道に陰ながら人を支える仕事の方が世の中には圧倒的に多く、その存在が日々世界を支えているのだと、改めて感じた次第です。

では、次回の第八回は『姪っ子の死について』です。
今日も良い一日をお過ごし下さい。

2021年10月12日
ファイナンシャルプランナー
薬師寺洋子

【薬師寺洋子さんプロフィール↓】

 


金融業界18年目のお金の専門家=ファイナンシャルプランナー
(証券会社12年、外資系保険会5年)
大阪府茨木市在住。行動範囲は関西圏全般。
地元が愛媛県なので、四国にもよく行きます。

マネーセミナーを中心に、お客様のマネープランニングと、
お金に関する問題解決のお手伝いをしております
資産運用のサポートもいたします。