【連載】亡くなる前にやっておきたい10の事⑤「感謝の手紙を書く」

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【連載】亡くなる前にやっておきたい10のこと「第5回:感謝の手紙を書く」
薬師寺洋子

証券会社12年、外資系保険会5年を経験した愛媛出身、大阪府茨木市在住のFP。マネーセミナーを中心に、お客様のマネープランニングと、お金に関する問題解決や資産運用のサポートをしてます。

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みなさん、こんにちは。すっかり秋めいてまいりました。涼しくなったのは気持ちよくて良いのですが、日中の寒暖差が激しい時期ですので体調を崩さないようお気を付け下さい。もし余命半年と言われたら、最期にお世話になった人達に感謝の手紙を書きましょう。

高齢者が死ぬ前に手紙を書くこと

前回投稿の振り返り

前回は、SNSで日記をつけるというお話をしましたが、あれはどちらかというと自分のため、そして全体へ公開することで自分の生き様が何かのお役に立つかもしれないという貢献に近いものでした。でも『手紙を書く』という行為は、もう一つ意味が違います。

手紙はその相手一人のことを思って筆を取り、相手のことを思いながら一言一言綴っていきます。
私は手紙を書くのが好きです。
書いている時、その人とのことが走馬灯のように思い出されて、自然に感謝の気持ちが湧いてきて、それを直接お伝えすることができることに心がほんわかするからです。

どんなにITやAIやという時代になっても、人間が手書きで思いを綴ることに勝る伝達方法はないと思っています。

もう一つ、私が手紙を書くのが好きな理由があります。

それは、手紙は郵便屋さんによって人の手から人の手に受け継がれるものだからです。
手間も時間もかけて数日後相手に手紙が届く。
時には遅れたり、時には汚れたり、時にはたどり着かなかったり。。。まるで旅をするかのようなその過程が、なんともドラマティックに感じるのです。

■お世話になったお客様に感謝をお伝えする

私は仕事柄、たくさんのお客様との出会いがあります。中には、お客様でもあり、友人でもあり、師匠でもあるという方もたくさんおられます。

お客様に仕事関係の書類や資料を送る時も、必ず一筆手書きで言葉を添えて送ります。
また、以前は誕生日に手書きのバースデーカードを書いていましたし、今でも年賀状は手書きの一言とあて名は全て手書きしています。

直接会った時に『薬師寺さんの字は大きくてダイナミックやなー』とか『誕生日のメッセージありがとう、ハガキとってあるよ』などと言われると、心からうれしく感じます。

直接会いに行くことも、お電話で声を聞くこともとても大切なのですが、私は敢えて文章を書くことを選びます。
それは、文章として残すということが、より一層言葉使いや文章の表現に細心の注意を払わせるからです。
こんな表現は相手に失礼ではないだろうか、相手を傷つけないだろうか、相手を不快にさせないだろうか。そして何より、私の思いが相手にちゃんと届いているだろうか。
色々な思いを巡らせながら、何度も読み返し書き直します。
出来上がった手紙は作品のように相手に届けられます。

『言葉』には大きな力があります。
日本には古くから『言霊』という考えもあるくらいです。

だからこそ、とてもお世話になったあの人に手紙を書く。
たくさんの人には難しいかもしれませんが、わたしの『することリスト』の大切な一つなのです。

若かりし時に私が一人で海外留学に行くことを決めた時、両親は特に反対しませんでしたが、行きの飛行機に乗る直前に母が一通の手紙を渡してくれました。

『あなたが自分で決めたことだから心配だけど信じて待ってます。むこうに着いたら必ず連絡ください。体に気を付けて。』

というシンプルな内容だったと思います。
当時は携帯もiPadもありませんでしたから、母が前の日の晩に一生懸命書いてくれたものだったと思います。
流暢な文章でも、胸を打つ名言でもないけれど、母がこれを私のことを思って書いてくれたんだと思うと涙が止まりませんでした。
私は飛行機の中で号泣していました。一緒に同封された1万円札と一緒に。

さて、次回の第6回は『友人たちと飲み会をする』です。
これ、余命関係なくない?と思いますが(笑)。

それでは、本日も良い一日をお過ごしください。